何処かにある空間の記憶
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暮らす
futari

「自立しなくっちゃね
でも一人は寂しいな」
彼女の独り言

「じゃあ
いつか一緒に住んであげます」

そう言うと

「住む」
でなくて
「暮らす」
がいいな

そう彼女はいった

そうだね

日が暮れるの
「暮れる」は

最後までの
時間をいう

うん
ずっとずっと
一緒に暮らそう


ひとかけら
fragment

星の数ほどある砂
見つけたひとかけら

ちいさなちいさな
ひとかけら

土曜日のやわらかな
初夏の朝
二人だけの物理学

モノとモノは
互いに引き合うっていってた
モノだけじゃなくて
人と人も

隣でノートをとるあなたと
ひとかけらみたいなボクも
きっときっと
引き合ってる

放課後
りんごジュースを飲む
あなたに
「映画にいかない?」って
勇気を出して
誘ったことを

今も覚えてるよ
ちょうどこんな風な
風が涼しい
初夏の放課後
裸足のバカ
moonlight

憶えてる?

水族館のあとの
夏の波打ち際
二人で裸足になって
海岸線を歩いたこと?

あの日
勇気を出して
初めてキミの手をつかんだ

指は小さくてなめらかで
19年のボクの想いが
バレちゃう気がした

陽の傾いた
浜への階段
砂まみれの靴をはいて

脈絡もなくキミが言ったこと


バカ


あれってさ
別の意味だったんじゃないかな

うん
ボクはバカなんだ
想いをずっと伝えていなくて

意地っぱりだったり
不器用だったりするキミへ


バカ


大好きだよ
ずっとずっと
好きだったよ
19年の廻り道
むかしむかし
あるところに
タオルという大学生がいました。

大学に入学して
一目ぼれした人がいました
同じ班のSさん。

彼女の鼻にかかる遠慮がちな声
すこしアンニュイな横顔
ちいさな手

タオルは一瞬にして
ハートを蜂の巣にされました

不器用なタオルは絶対に絶対に
その気持ちを悟られないように
自分に嘘をついていました

その年のクリスマスの数日前、
彼女に振られました。

「タオルくんはいい人だけど、お友達でいたいです。」
-----そこで彼の片想いは終わりました。

それでも心のどこかでずっとずっと好きでした。

数年前、彼女と再会して、
お友達としてよく会うようになりました。
10数年ぶりに会った彼女は
やっぱり素敵でした。

タオルは、自分の感情を更に上手に抑えることが
出来るようになってしまいました。

自分みたいなダメ男が彼女のようなクラスの
マドンナのような人と付き合えるわけがない。

身の程を知るべきだな。そう諦めていました。
友達としてでも彼女に会えるのは嬉しいことでした。

でも実は彼は最近、その彼女に告白しました。
どうしてももう気持ちが抑えられなくて。

結果は意外な奇蹟的結果に。
彼女も不器用な人。
なんでも遠慮なく言うくせに
好きっていう感情は素直に出せない人
そして鈍感な人

19年の廻り道。

タオルも彼女もいろんな恋をして恋を失い、

彼と彼女はそうして友達から恋人になりました

春は始まりの季節
夜桜が満開の川辺
静かなキスのあと
さくら色の風が心地よく
サラリと吹き抜けました