何処かにある空間の記憶
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19年の廻り道
むかしむかし
あるところに
タオルという大学生がいました。

大学に入学して
一目ぼれした人がいました
同じ班のSさん。

彼女の鼻にかかる遠慮がちな声
すこしアンニュイな横顔
ちいさな手

タオルは一瞬にして
ハートを蜂の巣にされました

不器用なタオルは絶対に絶対に
その気持ちを悟られないように
自分に嘘をついていました

その年のクリスマスの数日前、
彼女に振られました。

「タオルくんはいい人だけど、お友達でいたいです。」
-----そこで彼の片想いは終わりました。

それでも心のどこかでずっとずっと好きでした。

数年前、彼女と再会して、
お友達としてよく会うようになりました。
10数年ぶりに会った彼女は
やっぱり素敵でした。

タオルは、自分の感情を更に上手に抑えることが
出来るようになってしまいました。

自分みたいなダメ男が彼女のようなクラスの
マドンナのような人と付き合えるわけがない。

身の程を知るべきだな。そう諦めていました。
友達としてでも彼女に会えるのは嬉しいことでした。

でも実は彼は最近、その彼女に告白しました。
どうしてももう気持ちが抑えられなくて。

結果は意外な奇蹟的結果に。
彼女も不器用な人。
なんでも遠慮なく言うくせに
好きっていう感情は素直に出せない人
そして鈍感な人

19年の廻り道。

タオルも彼女もいろんな恋をして恋を失い、

彼と彼女はそうして友達から恋人になりました

春は始まりの季節
夜桜が満開の川辺
静かなキスのあと
さくら色の風が心地よく
サラリと吹き抜けました